離婚を考えたとき、住まいやお金と同じくらい、地味に頭を悩ませるのがこの問題じゃないでしょうか。私自身、2回の離婚を経験していて、実は1回目と2回目で、逆の選択をしました。
1回目の離婚:知らずに旧姓へ。そこから始まった、地味にしんどい日々
1回目の離婚のとき、私は旧姓に戻りました。
理由は「離婚しても、結婚していたときの苗字をそのまま使い続けられる」という制度があることを、当時の私は知らなかったんです。もし知っていたとしても、元夫の両親とはあまり関係が良くなかったので、使わなかったと思いますが。
でも、これが思いのほか面倒なことに繋がりました。
苗字が変わったことで、銀行やクレジットカード、病院の診察券、携帯会社、保険会社の手続き・・・とにかく面倒だった。これを仕事をしながらやらないといけない。そして、もちろん会社への届出をし、社会保険やら何やら手続きが必要です。
当時、私は某有名カフェでマネージャーをしていて、お店に出る時は「名札」の着用が必須でした。今でこそ、名札をつけなかったり、イニシャルだけだったりするお店も増えましたが、当時はそれがありえない時代。離婚したことで会社に諸々の手続きをすると、名札や名刺も変わりました。
カフェは常連のお客様が非常に多いです。朝は、「おはよう!」と挨拶をする、世間話をする、お仕事帰りに、また寄って行かれるお客様が多い。そして、お客様は、意外にみているものです。そこから、お客さんに「結婚したの?」「名字変わったね!」と言われることが、本当に多くなりました。離婚したのが30代前半だったので、「結婚して苗字が変わった」と思われても不思議ではなかったんですよね。事情を知っている人には心配されるし、アルバイトの子には気を遣われるし、同僚の社員にはいじられるし……本当に嫌でした。
さすがに一度、同僚のいじりにはブチギレました。「そんな人の不幸を楽しめるって、人としてどうかと思う」とはっきり言ったら、それ以降は言われなくなりました。若さもあったし、血気盛んな時期でもあったので。
お客さんには、何度も同じ話をするのが面倒になってきて、しまいには「結婚した?」「はい」、「離婚した?」「はい」と、どちらにも「はい」で返すようになっていました。
一番やばかったのは、「結婚したの?」に「はい」と答えたら、お祝いを持ってこられてしまったこと。実際は離婚していたのに、お返しをしなければいけなくなって……。自分の心の傷を、自分でえぐるような出来事でした。
さらに言うと、私の旧姓は少し珍しい苗字で、漢字を読んでもらえないことがよくありました。それも含めて、正直あまり好きになれない苗字でしたので、「なんて読むの?」というお客様からの質問も地味にイヤでした。
思えば子供の頃からそうでした。クラス替えや進学のたびに、担任の先生が出席確認をするとき、私の前の人までは普通に名前を呼んでいたのに、私の番になると「ん?ん〜〇〇さん?」と、必ず違う読み方をされる。妹も同じ苗字だったので、同じように読まれず、「イヤだよね〜」とよく話していました。子供の頃通っていた病院でも、同じように読み間違えられていたものです。

2回目の離婚:苗字を変えないという選択
そんな経験があったからこそ、2回目の離婚のときは、迷わず「苗字を変えない」という選択をしました。
まず、1回目の経験に、心底懲りていたこと。苗字を変えたことで生じる、諸々の手続きをはじめ、あの名札問題、もう経験したくないと思いました。それに、2回目の離婚当時、私は統括マネージャーとして様々な人と会う機会があり、店頭に立つこともあったので、また同じような状況になる可能性が高かったんです。
そしてもうひとつ、今の苗字がありふれていて読みやすい、というのも大きな理由でした。旧姓のように「なんて読むんですか?」と聞かれることもなく、面倒じゃない。
結論として、今も2回目の結婚時の苗字を使い続けていますが、何一つ不便に感じたことはありません。「旧姓に戻せばよかった」と思ったことも、一度もない。むしろ、離婚後の手続きもラクで、この選択をして本当によかったと思っています。
友人にも、元夫の苗字を「子供のため」にそのまま名乗り続けている人がいますが、彼女も特段不自由はなかったと話していました。友人も旧姓は珍しい苗字だったそうで、やっぱりイヤだったそうです。そうでない人ももちろんいらっしゃるとは思いますが。
余談ですが、この2回目の離婚の後の引っ越しでは、実は別のところでお金に困った話もあります。詳しくはこちらの記事に書いています。
婚氏続称ってなに?苗字を変えない手続き
「じゃあ、苗字を変えないためには、何をすればいいの?」という方のために、手続きについても触れておきますね。
離婚後も結婚していたときの苗字を使い続けたい場合は、「離婚の際に称していた氏を称する届」(通称:婚氏続称届)という書類を、市区町村役場に提出する必要があります。
提出期限は、離婚が成立した日から3か月以内。
タイミングは、離婚届と同時に提出するのがおすすめです。別々に提出すると、婚氏続称届を出すまでの間、いったん旧姓に戻ってしまい、身分証明書や保険などの名義変更が二度手間になってしまいます。
提出先は、本籍地でなくても、住所地や所在地(一時的な居所でもOK)の役所で提出できます。
必要書類については、令和6年3月からは戸籍謄本の添付が不要になり、以前より手続きはシンプルになっています。
ちなみに、この届出に元配偶者の同意は必要ありません。結婚時に苗字を変えた本人の権利として、単独で届け出ることができます。私の場合は一応、元夫に確認を取りましたが、それは気持ちの上での配慮であって、法律上必須というわけではなかったようです。
法務省の統計によると、離婚後も婚氏続称を選ぶ人の割合は約46.2%にのぼるそうです。半数近くの方が「苗字を変えない」選択をしている、と知ると、少し気持ちが楽になる方もいるかもしれません。
もし婚氏続称の届出をした後で、やっぱり旧姓に戻りたいと思った場合は、家庭裁判所の許可を得て、別途手続きをする必要があります。「やむを得ない事由がある」と判断された場合に限られるので、迷っている場合は慎重に判断した方がよさそうです。

子供がいる場合の苗字問題
私自身には子供がいませんが、幼馴染が、親の結婚・離婚で苗字が変わった経験をしています。友達にその苗字のことを突っ込まれて、嫌そうな顔をしていたのを、今でも覚えています。
大人であれば流せることも、子供にとっては、クラスの中で毎回説明を求められる、もっとシビアな状況になりがちです。
夫婦が離婚しても、子供の苗字や戸籍は自動的には変わりません。もし親権を持つ側の苗字に子供を合わせたい場合は、家庭裁判所で「子の氏の変更許可」を得たうえで、「入籍届」を提出する必要があります。この手続きは、親自身の苗字の手続き(婚氏続称届)とは別物なので、注意が必要です。

まとめ:苗字の選択に、正解はない
1回目は知らずに旧姓へ、2回目は迷わず苗字をそのまま。同じ「離婚」という経験をしても、状況や積み重ねてきたものによって、選択が変わるのは自然なことだと思います。
苗字を変えることも、変えないことも、どちらにもメリットとデメリットがあります。大事なのは、周りの目や「普通はこうするもの」という思い込みではなく、自分の生活や気持ちに合った選択をすること。
私の場合は「変えない」を選んで、心から良かったと思っています。もし今、苗字のことで悩んでいる方がいたら、この記事が、自分にとっての正解を見つける手助けになれば嬉しいです。
苗字だけでなく、離婚後の住まい選びについても、こちらの記事にまとめています。

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