※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
前回は、うちの実家が未登記のままになっていること、母がその整理に協力してくれず、妹と親子喧嘩にまで発展してしまった話をしました。
今回は、私が実際に参加した相続・終活講座での気づきや、実際のデータをもとに、相続にまつわるいくつかの誤解や落とし穴について整理してみます。
▶ 前回の記事はこちら:未登記の実家を整理しようとしたら、家族ケンカになった話(第1回)
40、50代は、自分の終活どころではない「挟まれる世代」
本題に入る前に、気になるデータをご紹介させてください。
40代のうち、自分の終活を実際に行動に移している人は約1〜2割にとどまる一方、必要性を感じている人は約7割にのぼるという調査結果があります(株式会社ルリアン・株式会社林商会の調査より)。
しかし、仕事や子育て、家事に追われて、自分の終活まで手が回らないのが実状のようです。これは50代でも大きくは変わらないと思います。
ところが同時に、親の高齢化に伴って「親の終活・相続」に主導的な立場で関わることになる人が、約75%にのぼるというデータもあります(そうぞくドットコム調べ)。つまり40、50代は、自分の終活は後回しにしたまま、親の相続・終活の当事者として否応なく矢面に立たされる世代だということです。
さらに、生前に相続や終活について家族で話し合う機会を持てなかった家庭は、約4割にのぼるそうです(株式会社ルリアン、そうぞくドットコムなどの調査より)。うちもまさにこのパターンになりかけています。話し合う機会がないまま、ある日突然「じゃあどうする?」を迫られる——これが、多くの家庭で起きていることなのだと思います。

「相続」は、選べるものではなかった
もうひとつ、今回改めて「そうだったんだ」と驚いたことがあります。先日私がSNSマーケティング部長としてお世話になっている会社の下田博美社長が「50代を迎えたら知っておきたい、相続・終活プチ講座」を開催しました。私もその講座に参加させていただいて、気がついたんです。
私はずっと、「相続」という言葉に、なんとなく「遺産=資産」というイメージを持っていました。相続なんて、お金持ちの家、資産がある家だけのものだと思っていたのです。
でも、実際はそうではありません。親が亡くなれば、資産があってもなくても、自動的に「相続」は発生します。しかも相続の対象になるのは、プラスの財産だけではありません。借金のような、マイナスの財産も相続の対象になるのです。
つまり「うちには財産なんてないから、相続なんて関係ない」と思っていても、実は関係なくはないのです。むしろ、財産がない、もしくはマイナスの財産(借金)がある家庭ほど、「相続放棄」や「限定承認」といった手続きを、期限内(基本的には亡くなったことを知った日から3ヶ月以内)に検討しなければならない、切実な問題になり得ます。
「資産があるかないか」ではなく、「親が亡くなった時点で、否応なく発生するもの」
——これが相続というものなのかと、今回参加したプチ講座で実感しました。
親が亡くなった直後、絶対にやってはいけないこと
この「マイナスの財産も相続対象になる」という話には、続きがあります。講座で教えてもらった話によると、親が亡くなった直後にやってしまいがちな、ある行動が命取りになることがあるそうです。
それは、親の預金口座から、勝手にお金を引き出して使ってしまうことです。
生活費や葬儀費用のつもりで、キャッシュカードを使って引き出し、そのまま使ってしまう——これをやってしまうと、法律上は「相続を承認した」とみなされてしまいます。つまり、後から親に隠れた借金が見つかったとしても、そこから「相続放棄」を選ぶことができなくなってしまうのです。相続放棄の期限は、亡くなったことを知った日から3ヶ月以内。この期限内であっても、一度財産を使ってしまえば、選択肢そのものが消えてしまいます。
「焦って勝手にお金を動かさないこと」
これを知っているだけでも、いざという時の落ち着き方がまるで違ってくると思います。この他にも、亡くなった直後にやっておいた方がいいこと、覚えておきたい期限など、実務的な部分は博美社長のブログで詳しく解説してもらう予定なので、そちらもぜひ読んでみてください。

「お金持ちの家が揉める」は誤解だった
「相続で揉める」と聞くと、なんとなく資産家の話だと思っていませんか?
私自身、この考え方が完全に間違っていたことに気づかされました。
家庭裁判所に持ち込まれる相続トラブルのうち、資産5,000万円以下のケースが約75%、さらに1,000万円以下の遺産で揉めているケースが全体の約35%を占めるそうです(博美社長に教えてもらったデータです)。「お金持ちの家が揉める」というのは、大きな誤解だったのです。
なぜ「お金がない家」ほど揉めるのか
分けにくい不動産
遺産の大部分が「古い実家の土地や建物」だけというケースでは、きれいに等分することができません。売るに売れず、住みたい人と売りたい人で意見が割れてしまいます。
現金・貯金がない
預貯金が少ないと、代わりにお金を払って調整する「代償分割」ができません。結果として、法律通りの権利(法定相続分)をお互いに主張し合い、「少しでも多く現金が欲しい」と一歩も引けなくなってしまうのです。資産家であれば分けられるお金や土地に余裕があるため、案外円満に解決しやすいのだそうです。
昔と今で変わった「相続」への感覚
戦前は「家督相続」といって、長男が家も財産もすべて継ぐのが当たり前で、その代わり、長男は他の家族を養う責任も背負っていたのだとか。
現在は法律で平等に分ける「法定相続」が基本です。ところが親世代の中には、いまだに「長男に任せておけば大丈夫」という昔の感覚のまま、遺言書を残さないケースが少なくありません。結果として、子ども同士が「自分にも権利があるはず」とぶつかってしまうのです。
介護をしたのは母、何もしなかったのは義兄弟——不公平感が生まれる理由
「自分が親の世話をずっとしてきた」という人と、「何もしてこなかったきょうだい」との間で不公平感が噴き出すこともあれば、「昔からあの子ばかりひいきされていた」という感情が、少ない財産の分配をきっかけに表に出てくることもあります。
うちの場合もまさにこれに当てはまります。祖母の介護、祖母の葬儀をしてきたのは母でした。もちろん、費用も母が出してきました。それなのに、何もしなかった義兄弟(父の姉と弟)がいる。しかも、何もしてこなかったくせに、相続では自分の権利は主張してくる。これも、うちが抱えてきた不公平感のひとつです。

相続で揉める親戚問題、「早く」動けない本当の理由
うちのように、相続権を持つ親戚との関係がそもそも良くない場合、事情はさらに複雑になります。
「相続放棄してほしい」と頼んで、はいわかりましたと簡単に応じてもらえるような間柄でなければ、下手に動くこと自体が新たな火種になりかねません。母が「関わりたくない」と動こうとしないのも、ある意味では厄介ごとを避けるための防御反応なのだと思います。
ただ、法律上、相続放棄は各相続人が個別に家庭裁判所へ申述する手続きで、他の相続人が頼んでも強制力はありません。だからこそ、今のうちにできることは、支払いの記録や経緯を「事実」として残しておくことなのだと、博美社長は言います。
母にとっては、思い出したくもない過去なのだと思います。でも、残された側はそれで済まないからこそ、喧嘩になってしまう。
博美社長は、こうした感情のもつれが絡む事例を数えきれないほど見てきたそうです。だからこそ、「早めに動いておいた方がいい」と繰り返し言われました。そして、当事者だけではどうしても収拾がつかなくなる場合は、専門家を挟む必要も出てくるとのことでした。
興味深いのは、こんな話も聞かせてくれたことです。相続や終活の必要性を感じていても、実際に行動に移せている人は体感としても2割程度だと、博美社長は言います。前述の調査データとも一致する数字です。やはり、面倒ごとになると、躊躇してしまうのかもしれません。
そして、不動産のプロである博美社長自身も、ご自分のお父様に遺言書を書いてもらうまで、5年かかったのだそうです。
相続の大変さを誰よりも知っているはずの専門家でさえ、5年です。これは、知識があれば早く動けるという単純な話ではなく、家族という関係性の中で「切り出すこと」自体がどれほど難しいかを物語っていると思います。裏を返せば、それほど時間がかかるものだからこそ、本当に早く動き始めないと手遅れになりかねない、ということでもあります。
外から見れば、どこの家も平穏に見えるかもしれません。でも実際は、同じような事情を抱えている家が、思っている以上にたくさんあるのだと思います。
もし今、相続のことで誰に相談していいか分からず悩んでいるなら、こうした相続の相談窓口を頼ってみるのも一つの方法です。

相続で揉めないために、今できること
- 親が元気なうちに「どう分けるのか」を話し合い、遺言書を残しておく(「大した財産がないから大丈夫」という思い込みが一番危険です)
- 不動産の名義や登記状況を、早めに確認・記録しておく
- 介護や管理の負担を、誰か一人に背負わせない仕組みを作る
- 感情的になりやすい話だからこそ、第三者(専門家)を交えることも検討する
「早めに」と繰り返しお伝えしているのには、もうひとつ理由があります。認知症などで判断能力がないと見なされてしまうと、本人の預貯金を引き出すこともできなくなり、遺言書の作成や遺産分割の話し合いに本人が加わることもできなくなってしまうのだそうです。つまり、「記録を残しておく」という一見地味な作業も、本人が自分の言葉で経緯を話せるうちにしかできないことなのです。
そして、この終活をする上で役に立つのが「エンディングノート」を書くことです。
遺言書のような堅苦しいものではないので、ノートを広げ、思い出を話しながらであれば、抵抗感が少なく取り組めるかもしれません。
うちの場合も、時間がかかりそうですが、「その時」は必ずやってくるわけで、放置していても問題が大きくなるだけ。ということがよく理解できましたので、一歩ずつではありますが、準備を進めていこうと思います。
あなたも少しずつ行動をされていくことをお勧めします。
▶ まだ読んでいない方は、前回の記事もあわせてどうぞ:
未登記の実家を整理しようとしたら、家族ケンカになった話(第1回)
▶ この記事の内容を受けて、不動産のプロである博美社長が「亡くなった直後にやってはいけないこと」をさらに詳しく解説してくれています。あわせてぜひ読んでみてください:相続で「絶対にやってはいけないこと」——不動産のプロとして伝えたいこと
参考にしたデータ
- 株式会社ルリアン「相続・終活に関する全国調査」
- 株式会社林商会「終活に関するアンケート調査」
- そうぞくドットコム「終活に関する意識・実態調査」
- 博美社長(不動産コンサルティング会社社長)からの情報提供


コメント